【漫画感想】第33話「おっさん、影を見る!」(話売り#35)|『片田舎のおっさん、剣聖になる』感想
『片田舎のおっさん、剣聖になる』第33話「おっさん、影を見る!」の感想です。
第33話「おっさん、影を見る!」 は話売り#35に掲載されています。
第33話「おっさん、影を見る!」
”ロノ‧アンブロシア”が擬態した”影の剣士”とベリルの対峙。”影の剣士”の素性は明らかになることはありませんでしたが、その強さは圧倒的。やはり”剣聖”の可能性が高いのか。
”ロノ‧アンブロシア”の封印方法を確立しているはずの封印班の魔術を悉く切り裂き、ベリルをして”完璧な太刀筋”、”異常な剣の速さ”と言わしめる剣の技量。

そんなものを相手にしても脳内で戦闘シミュレーションを行うベリルもさすがですが、そのベリルをして一切の勝ち筋が見えないどころか、ファウステスやフィッセルと共闘して尚深手を負いつつ、ようやく片足を落とせるという桁違いの実力を見せました。
しかも恐ろしいことに、ベリルに片足を落とされるや、他の陰から同様の人影が複数生み出されかけるという…。結界班の結界とフィッセルの魔法のおかげで「本体」を捕らえたことで今回はことなきをえましたが、”影の剣士”と同等の人型を無尽蔵に生み出せるのだとしたらとんでもない脅威ですね。
現在は既に捕獲されて、学院の地下に拘束されている”ロノ‧アンブロシア”ですが、さすがネームドなだけあって厄介な相手です。まあ、その性質と捕獲方法さえわかってしまえば、捕獲自体は簡単そうですがね。とりあえず、対峙者の脅威度に合わせて姿を変えてくるということなので、圧倒的な強者を対峙させるのは完全な悪手ですね。できるだけ”ロノ‧アンブロシア”にとって脅威の低い相手を退治させて、その相手に合わせて擬態したところを、より強い術師が封印するという感じで捉えたのかな。
それはさておき、こうなると気になることが出てくるわけで。”ロノ‧アンブロシア”が”剣術をおさめた剣士”に擬態したということは、”ロノ‧アンブロシア”の能力が”特定の個体”を模倣することのできる能力であるということになります。
で、この”影の剣士”ですけど、その技量や話の流れ、そして姿形からして大昔に実在したという”剣聖”の可能性が非常に高いわけです。そうなると、”ロノ‧アンブロシア”は”剣聖”と対峙したことがあるということになります。それどころか、その”剣聖”をもってしても、倒すことができなかったということに…。

となると、ベリルにとってはこの”ロノ‧アンブロシア”は二つの意味で非常に重要な存在になり得ます。
一つは”秘剣”。ラフィ曰く、剣聖とは”秘剣”を継いだもの、あるいは”秘剣”を超えた剣に至ったものが”剣聖”となるとのことなので、今は亡き”剣聖”の剣技を模倣する”ロノ‧アンブロシア”の”影の剣士”はベリルが剣聖の”秘剣”を知る手掛かりになり得ます。
二つ目は”剣聖の強さ”。”ロノ‧アンブロシア”の”影の剣士”が”剣聖”を模倣するのであれば、その強さはおそらく本物の”剣聖”にも迫るでしょう。なので、”影の剣士”との戦いはベリルが剣聖を超えた剣の技量を身につけられたかどうかの指標となり得ます。そして、さらに剣聖ですら倒すことのできなかった”ロノ‧アンブロシア”を仮にベリルが単独で討伐することができたのなら、それはベリルが剣聖を越えたという証にもなるでしょう。
というわけで、タイトルが「片田舎のおっさん、剣聖になる」なわけだから、”ロノ‧アンブロシア”の”影の剣士”の存在は、ベリルが”剣聖”になるためには避けては通れない相手ということになる。
今回は、封印されてしまったけれど、今後この”影の剣士”がどう物語に現れてくるのか期待が高まります。
それはそうと”ロノ‧アンブロシア”はどうやって擬態を実現しているのだろう。ただ対峙しただけで相手の能力がコピーできるのか? もしそうなら、今回対峙したベリルも模倣されてしまうけど…それはそれで面白そうな展開だな。ただ、それなら何度も受けているであろう封印班の封印術なんかも習得できて然るべきだし、未だに同じ手順で封印されるというのも違和感があるわけで…。

…となると…。相手を取り込むことで能力ごと自分のものにするという、あれか…。えっ、そうだとすると”剣聖”も取り込まれていることになるけど…。
そういえば、そもそも”ロノ‧アンブロシア”が人型をとったこと自体が初めてのことだったらしいけど、ファウステスとフィッセルの表情が軽快モードに変わったのは”影の剣士”がベリルに対して剣を構えて攻撃の意志を示した(?)タイミングでしたね。で、これを未観測反応と言ったんでしたっけね。これは”ロノ‧アンブロシア”がベリルを最上級の脅威として見做したのかと思っていたけれど、もしかすると”剣聖”の意識が残ってたりするってことなのか? まあ、わからないことはまだまだありますが、とりあえず間接的ながらベリルの強さも徐々に明らかになってくるのは読んでいて楽しいもんですね。
で、フィッセルとのほのぼの師弟愛もあって、どうやら新しい教え子(?)らしき人物が登場。どこかの国の教会騎士団に所属する女性剣士”ロゼ”。次回からはこの新キャラが物語の核に関わってくるのかな。
